以前描いた絵の中から、思い出のある絵をご紹介します。
会期終了まで1日1作品ずつ更新します。どうぞお付き合いください。
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(7月19日)
海辺
33.2 x 24.2 cm
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海辺です。「好きな色で好きな場所を描こう」と思った日に描いた絵です。

時々、こういう絵が表れます。確かに自分が描くのですが、描いている途中、突然「向こうから紙の上にやってくる」ような立ち上がり方をします。
私は、澄んだ透明水彩の絵を描くにはきっと「濁った絵を描く」のが良いのだと思っています。色の濁りを見つめながら、好きなもの、描きたいものを描き続けて、たくさんの絵を濁らせた後、時々澄んだ絵がやってくるのです。それは自分と、自分が表そうとするものと、表そうとするものの摂理と、紙の上を流れる水と絵の具の摂理が近づく時を待つことなのだと思っています。
   
(7月18日)
多摩川
22.7 x 15.8 cm
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多摩川です。JR南武線・府中本町と南多摩の間にかかる鉄橋から見た光景です。横浜画塾の午前クラスにいた頃、早朝この橋を渡っていました。向こうから朝日が見えました。

去年の春から午後のクラスに移り、朝の時間にこの橋を渡ることはなくなりました。自分は夜行性の人間で、しかも眠るとなかなか目を覚まさないため、今まで描きに行った多摩川はほとんど夕暮れの時間です。朝の多摩川をまた描きたいです。朝や夕暮れの空は見ていると心穏やかになります。そのまま紙の上に呼べたらなあ...といつも思います。
川は人間が現れる前からずっとあるもの、橋や堤防や送電線は、人間が生活するために生み出したもの、川を描いているとそういうことを考えます。絵を描く方それぞれ、色々なテーマをお持ちだと思うのですが、私が特に好きなのは「荒ぶる自然と渡り合っていくために人間が生み出したテクノロジー」なのかなと思うことがあります。
   
(7月17日)
うろおぼえポストカード
はがきサイズ
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2014年当時、勢いで「絵描きになろう」と決めてしまった私は「何か"作品"を作ろう」と考え、はがきサイズの水彩紙にらくがきやスケッチ、頭に浮かんだ光景を描き散らし「うろおぼえポストカード」という名前をつけて集めていました。
はがきが何枚か溜まった頃「展示をしてみよう」と思い立ち、銀座にある月光荘画材店の地下ギャラリー・画室1の企画展に申し込みました。通常の展示の申し込みがない期間、5人の参加者で壁をシェアする穴埋め企画です。搬入当日、他に申し込みがなかったのか、来たのは私一人でした。実質、初の個展が始まってしまいました。額装の知識がなかったため、ほとんどのはがきは直接プラスチックレールに並べ、上部のへりを画鋲で押さえて展示しました。予定していた5倍の広さを埋めるため、いたずら描きや色試し同然のはがきも置きました。へなちょこです。人の来ない地下で鬱々と在廊していたところ、当時の月光荘のご主人・ななせさんがいらして「素敵ね。またここで展示してね。今度はもっと大きい絵を描いてね。」とメッセージをくださいました。私は嬉しくなってしまい「よし、大きい絵を描いてまた展示をしよう」と思ったのでした。
   
(7月16日)
愛なき世界
51 x 36 cm
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横浜画塾・笠井先生の教室で描いた静物です。通常、絵の教室で描く絵は「習作」で「自分の絵」ではないという気持ちでいるのですが、この絵は、特別ということにさせてください...。
講評の時、このふにゃふにゃの絵をご覧になった笠井先生が「面白いですよねえ」と言ってくださったのを覚えています。教室に通えて本当に良かったと思いました。昨年3月の教室展 (横浜画塾展) で展示しました。最初「静物1」や「ポピーの花」のような題をつけて持って行ったのですが、先生からは「もうちょっと雰囲気のあるタイトルにしましょう」とコメントがあり、My Bloody Valentineの「Loveless」の邦題を取ってみました。
絵と言葉が合わさるとき、絵の帯びるものが変わるのを感じます。特に、ふにゃふにゃした絵の場合、つけた言葉のもたらすものが一層大きい気がします。もってまわった感じで少し恥ずかしいなあと思いつつ、気に入ってしまったタイトルの絵です。
   
(7月15日)
離島便
33.2  x 24.2 cm
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東京から南へ1000km、小笠原諸島・母島の港で見た光景です。小笠原には空港がないため、人の移動や物資の輸送は全て船で行われます。東京・竹芝桟橋から約24時間の船旅です。2017年の夏に訪れました。見たこともないような真っ青な空、透明な海、鮮やかな植物に驚きました。
青いコンテナ、何が入っていたんでしょう。私が見たのは積み込んでいる時でした。コンテナは母島から父島まで「ははじま丸」(絵の中の船) で移動し、父島の港で「おがさわら丸」に積み替えられて東京へ向かいます。
昔から鉄道駅や港、空港のような「ターミナル」の役割を果たす場所が好きです。人やものがどこかからやって来て、またどこかへ行く様子を見ているとわくわくします。市場や貨物駅のような物流の拠点もとても好きです。身の回りにあるほとんどのものが、世界中に構築された物流のネットワークを通して、どこか知らない遠くからやってきたのだなあと思うと、感慨深いです。
今現在、世界中で多くの移動や輸送が滞っています。物流のお仕事に携わる方々も大変な状況にあります。少しでも状況が落ち着いて、穏やかな日々が戻るよう祈ります。
   
(7月14日)
横浜
22.7 x 15.8 cm
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横浜・山下公園からの眺め。冬の日の絵です。
時々「確かに自分が描いたのだけれど、あまり自分が描いた気がしない絵」ができることがあります。ありがたいことに、この絵は公募で賞を頂いたのですが、「偶然できた絵」を出品してしまったためか、後からひどく変な気持ちになりました。私に、偶然を必然に変える力というか、器というか、粘りというかがあると良いのでしょうが...。
思うこととして、横浜は最初から「絵のような場所」なので、紙の上に呼ぶことができると「絵」ができるのかもしれません。水彩を始めた頃、横浜・みなとみらいは私にとって遠い憧れの場所でした。今この場所を描いていることが、とても不思議に思えます。
  
(7月13日)
オランダ・アムステルダム中央駅
18 x 14 cm (モレスキン手帳にスケッチ)
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オランダの首都・アムステルダムの中心に位置する鉄道駅です。去年4月、オランダとベルギーを旅行した時に描きました。(Blogに旅の記録があります。良かったらご覧ください。)
左手指で固形水彩のケースを持ち、左手首に手帳を固定して、2時間粘って描きました。この旅は、スキポール空港のロビーを描こうとしてはへろへろ、アントワープの港を描こうとしてはへろへろ、オランダでチューリップを描こうとしてはへろへろと、各地で自分の画力のなさを痛感する旅だったのですが、最後この駅を描くときは「へろへろだろうがなんだろうが絶対描いて帰ってやる」という強い気持ちで水筆を持ちました。私は鉄道駅が大好きなのです。この時以降「パースを覚えて、先にパースグリッドを引いた方が、落ち着いて楽しく色を決められる」と学びました。描きたいものが思ったように描けない時、学ぶことが多い気がします。
   
(7月12日)
ひよこ
9 x 9 cm くらい
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旅のおみやげ、ひよこです。はがきサイズの紙に描きました。丸いフォルムが好きです。飛行機の研究所で働いていた頃、帰省のおみやげで時々頂きました。この絵を描いて、小さな紙におやつの絵を描くのは楽しいなあと思いました。
額に入れ、今年2月のギャラリーカフェジャローナさんのグループ展「ミニ額 Collective Art」に持って行きました。展示の日、一緒に展示した方やジャローナのオーナーさんと「頭から食べる?おしりから食べる?」という話で盛り上がりました。私はおしりからです...食べるとき目が合うとドキドキします。いっそ一気に食べられたらいいんですが、それにはちょっと大きいのでした。
(お読み頂きありがとうございました!)